5 Pailles(サンクパイユ)


気心知れた友人とぺちゃくちゃおしゃべり。パリのカフェらしいユーモアのある店名がつけられた新しいコーヒーショップが、5 Pailles(サンク パイユ)です。

カフェ・サンク パイユがあるのはフォブール・サン・ドニ通り Rue Faubourg Saint-Denis。パリの玄関口シャルル・ド・ゴール空港のこれまた玄関であるパリ東駅(と北駅)に近く、メトロの最寄はストラスブール・サン・ドニ Strasbourg - Saint-Denis (4, 8, 9番線) とボンヌ・ヌーベル Bonne Nouvelle (8, 9番線)が便利。

通りの名前フォブール faubourg とは「郊外」のこと。19世紀の第二帝政時代にオスマン知事によるパリ改造が行われる以前の小さなパリにおいてフォブール・サン・ドニ通りから先はパリ郊外だったことに由来します。

サンク パイユへ行くにはストラスブール・サン・ドニ駅から通りをまっすぐに進んでいけばOK。少し不安になったあたりにブルーのコーナーが見えたら、そこが目指すカフェです。

フォブール・サン・ドニ通りはちょっとパリらしからぬというかむしろパリらしいというかといった空気に満ちていて、がやがやと賑やかな商店が左右に並び道行く人のエネルギーも、パリ左岸の観光エリアと比べると桁違い。

セネガルを始めとする西アフリカ、チュニジアなどの中東、カリブのマルチニックなどフランスにとって身内である異国の商店がならぶ通りにサンク パイユのテラスはちょっと小綺麗で浮いている感じもするかもしれません。おかげで、小さな入り口ですが見逃すことはないと思いますよ。


エスプレッソはキュッと目が覚める1杯が最高


友情・反骨・ユーモア


カフェの名前 “5 Pailles” とは「5本のストロー」のこと。映画のワンシーンに由来するこの名前には5人の仲間の友情とコーヒー、デザインへの情熱が込められています。

そのワンシーンが見られるのは1994年のフランス映画「青春シンドローム Le Péril jeune」。カフェでグダグダぺちゃくちゃゲームとおしゃべりに興じる5人の若者(いまでも年代性別問わず、よく見かける!)に「マドモアゼル達、そろそろお代わりがいるんじゃないですかね?!」と長っ尻を揶揄して声をかける店主。すると5人のうちの1人が「カフェを一つ頼むよ、マダム。ストローを5本付けてね!」と返す。これぞユーモア。

「青春シンドローム」を撮ったのはフレンチ・コメディの名手として知られる映画監督セドリック・クラピッシュ Cédric Klapisch。古くは「百貨店大百科」、「猫が行方不明」、「スパニッシュ・アパートメント」、最近では「ニューヨークの巴里夫」などフランス的ユーモアの効いた会話が印象的です。

特にこの「5本のストロー」はそこだけ切り出されて動画サイトに上がっているほど有名。70年代半ばの学園闘争盛んな巴里で5人の高校生の友情と社会への反発、憧れ、置き去りにされることのないユーモア精神はいまでも十分に面白いので興味のある方はぜひ。

"- Alors ces demoiselles là, qu’est ce que j’leur sert ? Il serait peut-être temps de renouveler les consommations !
- Un café avec 5 pailles madame !
- Fais le malin toi! Tout le monde consomme ici!
- Vous voulez pas sucer mon pote pendant que j’vous encule ?!
- Oh nom de Dieu !"

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小さなカウンター内は清潔でシステマティック


コーヒー豆はフランス・ドイツ・デンマークから選りすぐり


映画で若者達が溜まり場にしていたのはパリジャン自ら「靴下の絞り汁」と称する薫らないコーヒーが出てくるおやじカフェですが、サンク パイユで出てくるコーヒーはしっかり薫るコーヒーです。

パリの新しいカフェで提供されているコーヒー豆はだいたいいくつかの流派(焙煎所)にわかれるもの。サンクパイユではパリ18区の大手、ロミ Lomi で焙煎されたオリジナルの豆をギュッとエスプレッソでいれてくれます。

サンクパイユで扱う豆はコーヒーラバーのメンバー達が選び抜いたヨーロッパの名焙煎所3つのコーヒー豆。ひとつはパリのニューウェーヴの雄・ロミ。ベルリンはプレンツラウアー・ベルクの大人気工房ボナンツァ、そしてデンマーク第二の都市オーフスで知らない人はないラカブラの特選コーヒ豆。

基本的にエスプレッソはロミの豆で、3つのどれかを選びたいのであればフィルターコーヒーを選びましょう。ただしコーヒ豆によっては8ユーロもしたりとなかなか値が張るため、まずはエスプレッソかカフェ・ノワゼットあたりで腕前拝見してからがよろしいかと。

豆にこだわるサンクパイユではクレマもしっかり濃厚で引き締まった酸味が美味しいエスプレッソも良いのですが、手練のバリスタが1杯ずつラテアートを描いてくれるカフェ・ラテもおすすめ。

サンクパイユはエクスパトリエイト・マガジン・パリ紙のベスト・オブ・パリ2017年でベスト・ラテアートに選ばれていて、きめ細かいフォームミルクと丸いキャンバスの繊細な絵はとても評判なのです。


シナモンロールは口福

ホームメイドのクオリティの高さ!


カフェ・サンクパイユではランチタイムのフードも評判。特にカウンターのケースにぎっしり並んだスイーツ、フード類も小腹スペースがあればぜひオーダーしたいところです。フィナンシエ、クッキー、シナモンロールはどれも自家製3.5ユーロ。

カウンター内のオーブンで毎日焼き上げられるスイーツ類はかなりクオリティが高く、温めてくれるシナモンロールは甘さ控えめ(でも甘い)、カフェと合うことといったらありません。ちょっと上手く行っていない時、血糖値や気分が下がり気味の時にはマストオーダーのひと品です。

スイーツが乗せられたプレートもちょっとだけ注目。日本の焼き物のような味わいのあるプレートに陽気なアメリカン・スイーツの組み合わせはなかなか渋い落ち着きがあります。

そういえばフランスでも陶芸は人気で、パリ市でも陶芸教室の講座を開いていたり一般のひとが習いに行くアトリエがいくつもあるため、陶芸品も珍しくはないのでした。カフェでこういったお皿を使っているのはまだあまり見かけないので、その点で新鮮な印象がするのかも。

このコーナーに収まると、出てこれなくなる…
気候の良い時期、窓はいつもオープン。風が心地よい

スパニッシュ・アパートメント2017


カフェの入り口は非常に狭く、テラスとカウンター席しかないように見えるサンクパイユですが、実際は友人宅のサロン並みには広いスペースを隠し持っています。

入ってすぐのカウンターでコーヒーを注文すると、「奥へどうぞ!」とスタッフがとっておきの笑顔で案内してくれます。趣味のよい個人宅のようなソファ、テーブル、椅子の組み合わせはどこに座っても居心地の良さは保証します。

この奥のスペースの雰囲気はクラピッシュ監督2002年作「スパニッシュ・アパートメント」で描かれたバルセロナのアパートメントに寄せているのだそう。見覚えのあるひとにはピンとくる、かも。「青春シンドローム」に「スパニッシュ・アパートメント」と、クラピッシュ映画ファンにおすすめのカフェでもあります。

5-6人で訪れたなら、ぜひ奥のスペース手前の大テーブル席へ。一枚板の触り心地と天井から吊るされた裸電球のライティングが長居を促すものだから、日曜午後のまったりした時間を過ごすのにぴったりです。

フレンドリーなスタッフはイスタンブール出身で英語もOK。こちらも笑顔を忘れずにいきましょう。


“ 5 Pailles”
Life is too short for bad coffee!

79 rue du Faubourg Saint Denis 75010 Paris, France
Tél. +33 6 31 86 74 34
Fermeture hebdo. : non
Métro(s) proche(s) : Gare de l'Est (4, 5, 7番線) / Poissonnière (7番線) / Strasbourg - Saint-Denis (4, 8, 9番線) / Bonne Nouvelle (8, 9番線)
Site: oui
https://www.5pailles.com
https://www.facebook.com/pg/5Pailles/
https://www.instagram.com/5pailles/

>> Horaires 営業時間
Lun(月): fermé
Mar(火): 08:00 - 19:00
Mer(水): 08:00 - 19:00
Jeu(木): 08:00 - 19:00
Ven(金): 08:00 - 19:00
Sam(土): 10:00 - 19:00
Dim(日): 10:00 - 19:00

>> café
Espresso : 2.5euro
Cortado : 3.5euro
Americano/Long Black (Café Americain/Café Allongé) : 3.0euro
Flat White : 4.5euro
Café Latte : 4.5euro
Cappuccino : 4.5euro
Café Mocha : 4.7euro
Café filtre : 3.0euro〜(豆による)
※「Flat White」はフォームミルクのないカフェラテ。エスプレッソ+スチームミルクの2層。
※「Cortado」はエスプレッソに少しだけミルクを垂らしたもの。ほんのちょっとだけ。

>> Thé et autres
Thé (Earl grey, Lapsang Souchong, Darjeeling) : 4.5euro
Tisane : 4.5euro
Chocolat chaud Maison : 4.5euro
Matcha Latte : 5.0euro
Chai Latte : 5.0euro
※「Tisane」はハーブティのこと。「Infusion」とも。

>> Boissons Froides
Café extrait à froid (Iced café) : 4.5euro
Thé froid Bio (Iced tea) : 4.5euro
※他にもあるよ!

>> Marques
Café lomi カフェ・ロミ https://lomi.paris
La Cabra Coffee Roasters カブラ・コーヒー www.lacabra.dk
Bonanza Café ボナンツァ・カフェ http://www.bonanzacoffee.de

>> Press
5 PAILLES — La Crème
http://www.lacrememagazine.com/stories/5-pailles

5 Pailles, le coffee shop le plus gourmand de Paris ! | Le Bonbon
https://www.lebonbon.fr/paris/food-decouvertes/5-pailles-le-coffee-shop-le-plus-gourmand-de-paris/

5 Pailles | Restaurants à Strasbourg-Saint-Denis, Paris | Time Out
https://www.timeout.fr/paris/restaurants/5-pailles

5 Pailles le coffee-shop friendly | Sortir A Paris
https://www.sortiraparis.com/hotel-restaurant/cafe-tea-time/articles/139039-5-pailles-le-coffee-shop-friendly

COFFEE IN PARIS: 5 Pailles , 79 Rue Faubourg Saint Denis 75010 - My parisian lifeMy parisian life
https://myparisianlife.com/2017/01/27/coffee-in-paris-5-pailles-79-rue-faubourg-saint-denis-75010/

Best of Paris 2017 | Expatriates Magazine Paris
http://www.best-in.paris

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